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国際交流

学生の海外研修

学部生全学年・全学科を対象とした2週間の海外研修プログラム

本学では10日~2週間の海外研修(総合教育科目「海外保健福祉事情」)を実施しています。本学が学術交流協定を結んでいる25の国や地域から研修先を選び、異文化や医療福祉について体験します。現地では、医療スタッフの指導のもとで患者さんのケアの補助を行うなど、海外の医療現場に触れられるほか、国際的な視点を養う貴重な機会となっています。

国際的センスを備える医療福祉の専門家を育成

1999年には大学の基本理念の1つである「国際的センスを備え、いかなる国の人々も伸び伸びと協働できる真の国際人を養成すること」を具現化するものとして、正規授業科目(2単位)の『海外保健福祉事情』へと発展しました。
当初は3-4カ国への派遣でしたが、14年度には518人、18年度には夏季・冬季・春季合わせて23の国・地域に819人を派遣するまでに拡大しました。2020年初頭から世界的な流行となった新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年度冬季後半より海外渡航を中止し、2020年度、2021年度および2022年度夏季研修はオンラインによる代替措置を行いました。2022年度冬季より3年振りに海外渡航を再開、渡航先を大幅に縮小し3カ国4研修機関、77人での実施となりました。2023年度からは新型コロナ流行前の規模に戻し、約810人が参加しました。

海外研修は学部生全学年・全学科を対象としており、研修先によりそれぞれ特徴はあるものの、どこに参加しても①その国の医療事情についての講義の受講②病院や福祉施設の見学③日本の文化を紹介する国際交流イベント「TOMODACHI HOUR」の開催―を実施します。また、医療スタッフの指導のもと、患者さんのケアの補助などの実習を行います。
授業科目の『海外保健福祉事情』には現地に赴く海外研修のほか、オリエンテーション、数回から15回の事前講義、帰国後のレポート提出や報告会での発表、活動報告書の作成が含まれています。

学術交流協定を締結した地域ごとの施設数を、世界地図に図解した画像

近年は研修先の政情や自然災害、その他国際情勢、風評等により実施が困難になる可能性も出てきています。本学では外務省の注意喚起等を参考に、国際戦略幹部会議などで慎重に議論し、その都度実施の可否を決めています。また、現地で体調不良になったり家庭の事情で緊急帰国したりするなどの様々な事象に備えています。
研修中の具体的な危機管理体制としては、各国1人以上の引率教職員が全日程に同行してサポートし、日本国内では緊急連絡網を整備し、各キャンパスの担当者が携帯電話を常に持ち歩き、いつでも引率教員や現地担当者と連絡が取れる状態にしています。

グローバル化が進む中、今後より多くの学生が海外研修に参加し、現地の医療現場に直接触れ、様々な医療事情や異文化を吸収し、将来は国内外で活躍する国際性豊かな医療福祉の専門家に育つことが期待されています。

2023年度 海外保健福祉事情
コロナ禍以前の規模で実施

国際的センスを備え、真の国際人養成をめざす本学の基本理念を実現するため、1999年から正規授業科目となった「海外保健福祉事情」がコロナ禍を経て今年度からコロナ禍以前の規模で始まった。2023年度の総合教育科目の本講座では、世界各地に10日から2週間訪問し、現地で研修を受ける。本格的に再開することになった今年夏季の講座は14か国・地域、25の医療機関で実施され、大田原、成田、東京赤坂、小田原、大川、福岡国際医療福祉大学の学生757人が参加。それぞれの国の医療・福祉事情を学んだ。
このうち、9か国・地域で研修を受けた9グループのレポートを紹介します。

成田国際交流センター 保田 亮

インドネシア ウダヤナ大学

現地からの生の声を通して途上国の医療課題を認識

成田保健医療学部 理学療法学科 学部長・学科長 西田 裕介
8月2日から11日まで、インドネシア・バリ島のウダヤナ大学の研修に参加し、同国の大学生と交流する機会を得た。研修は医療・福祉の施設見学、学生間の交流、世界文化遺産探訪やネイチャーツアーなど内容の濃いものだった。学生間交流では、同大学教員による授業で得た知識をもとに、学生が5グループに分かれ、テーマに沿ったポスターをつくり、プレゼンテーションを行い、ベストポスターを選んだ。国際性豊かな医療人となるために必要な国際的な視野を拡大できる、貴重な学びの機会だった。

国の壁を越えて接する大切さ

成田保健医療学部 理学療法学科 久保 綺音
現地の医療事情を学ぶ中で、現地の方の寛大な心と優しさが印象的だった。訪問させていただいた施設の方々やインドネシア各地の大学生などたくさんの方と交流させていただいたが、サポートしてくれた現地の学生さんは私たちが困らないように常に気づかってくれた。その中で、伝えようとすることの重要さを知った。言語が異なり理解ができなくても、アイコンタクトや表情でニュアンスはつかめる。国の壁を越えて人と接することの大切さを学ぶことができ、とても有意義な経験となった。

オーストラリア グリフィス大学

異文化の結節点

福岡薬学部 薬学科 助教 福田 光良
研修には学生39人、教員2人が参加した。研修プログラムは、英語の講義だけでなく、看護のラボツアー、病院・介護施設への訪問が実施された。学生らが通ったグリフィス大学では、全学55,000人の学生のうち1割が留学生。移民を積極的に受け入れてきた国だけに、留学生らに寛容な様子がうかがえた。キャンパスは、まさに異文化のjunction(結節点)だ。
短期間の研修だが、これらの経験を生かし、将来積極的に異国の地で活躍できる人材になってほしい。

  • オーストラリア・研修の様子

異文化体験を通して成長

福岡薬学部 薬学科 吉水 成美
通学や買い物は、大学までの道を調べて電車やバスを1人で乗り継がなければならず、とても不安だった。しかし、徐々に慣れてくると、とても居心地がいい場所だった。ゴールドコーストは、広大な緑、美しい海があり、まさに楽園のような場所。地元の人は、明るく優しかった。
グリフィス大学の先生はいつも笑顔で、講義では学生の考えを常に尊重し、自信をつけさせてくれた。ホストファミリーとは、日豪の文化を共有できた。ゴールドコーストでさまざまな新しい経験を通して、たくさん成長できた。

カンボジア カンボジア国立保健科学大学

日本との違いを実感

小田原保健医療学部 理学療法学科 学科長 久保 晃
8月5日から15日、大学内の視察に加え、首都プノンペンやシェムリアップにある病院や保健センターなどを訪問した。アンコールワット観光を含む盛りたくさんで充実した研修だった。参加者は教員2人と小田原、福岡、大川の学生19人だった。
同国では一定所得以下の人の医療費は国が負担してくれるが、環境整備が追い付いておらず、日本との違いを実感した。研修後半に3人が体調を崩したが、手際よく本部と連携を取り、適確なケアを展開していただけたおかげで無事に全員帰国することができた。

  • カンボジア・シミュレーションの設備の説明を受ける様子

患者に寄り添う医療につながる思いやり

小田原保健医療学部 看護学科 吉田 莉彩
無料だったことが印象に残っている。設備や医療サービスは日本と比べ低水準だったが、貧しい人々でも適切で安心な医療を受けられるように現地の医療従事者らは力を注いでいた。
国立保健科学大学の学生との交流では、折り紙やダンスを通して楽しい時間を共有できた。日本とは異なる医療事情を知り、医療従事者や学生、先生方と関わる中で人の温かさと思いやりを感じた。この温かさはカンボジアの、患者に寄り添った医療につながっているのだと実感した。

  • カンボジア・保健科学大学の学生と交流

フィリピン フィリピン大学

バリエーションに富んだ研修プログラム

福岡薬学部 薬学科 講師 今井 竜也
今年度のフィリピン研修は、福岡保健医療学部から4人、福岡薬学部から4人、福岡国際医療福祉大学医療学部から2人の計10人が参加した。現地の9月は雨季だったが、幸い天候にも恵まれ、各種レクチャー・レクリエーション、施設見学に観光と、バリエーションに富んだ学習プログラムを、滞りなく実施することができた。
食あたりで体調を壊したり、英語でのレクチャーに苦労したりはあったが、フィリピンの雰囲気を体感しつつ学び、過ごすことができたと思う。

仲間の大切さを知る

福岡保健医療学部 作業療法学科 徳永 琉笙
フィリピンでの病院や関連施設での見学を通じて、日本にはないいいところ、医療事情、医療に対する考え方について知ることができた。また、自分たちの常識が通じない土地に約2週間滞在する中で、トラブルにも見舞われ研修が予定通りに進行しないこともあったが、現地の方々や先生方のフォローで、無事に全研修プログラムを完遂することができた。海外研修でリーダーをしてみて、自分を支えてくれる仲間の大切さを知ることができた。日本にいるだけではわからない経験や学びを今後の生活に生かしたい。

モンゴル モンゴル国立医科大学

モンゴル文化に触れる貴重な機会

福岡薬学部 薬学科 助教 坂井 崇亮
首都ウランバートルにあるモンゴル国立医科大学(MNUMS)にて、福岡国際医療福祉大学から3人、国際医療福祉大学大川キャンパスから11人がお世話になった。第3中央病院や日本モンゴル教育病院、高齢者介護施設等の施設見学を通じて、現地の福祉事情を学ぶことができた。また、休日には郊外のテレルジ国立公園にて観光を行った。ビルが立ち並ぶ首都から一変、広大な草原地帯に囲まれる中で鷹匠体験や乗馬体験、ゲル泊体験を行い、モンゴル文化に触れる貴重な機会となった。

  • モンゴル・テレルジ公園での鷹匠体験

日本との共通点、相違点を知れた

福岡薬学部 薬学科 中村 紗也加
9月5日から15日までの11日間で病院見学や大学見学、日本大使館訪問、国際協力機構(JICA)訪問などさまざまな施設を訪れた。日本のJICAの支援で作られた病院は日本と変わらない水準の機器があり驚いたが、首都ウランバートルから離れると医療従事者の不足が特に目立っており、今後の課題点であると感じた。日本ではなかなか見ることのできない緑一面の景色には圧倒された。今回の研修で日本との共通点や相違点を知ることができ、有意義なものとなった。

  • モンゴル・研修施設の説明を受ける

ラオス ラオス国立健康科学大学

世界の多様性を肌で感じる体験

成田保健医療学部 医学検査学科 教授 竹内 啓晃
参加学生(成田・大川・福岡)は、ラオスに関する事前調査・知識を持って訪問した。しかし、異文化や社会・医療環境に実際に触れ、交流を経て、日本との大きな相違を感じたようだ。同時に、厳しい環境・状況の中での創意工夫に感銘を受けるとともに、本交流を通じて国際貢献の重要性や世界の多様性を肌で感じる大変に良い経験になった。この経験を通じて「国際性」を意識した将来ビジョンを考える学生もいた。本研修で得た学生交流の継続を期待したい。

発展途上の医療を体験した10日間

成田保健医療学部 医学検査学科 中尾 くるみ
10日間のラオスでの現地研修では、発展途上国の医療の現状を学ぶことができた。首都にある病院はさまざまな診療科があり、建物も広い一方、郊外にある病院やヘルスセンターは衛生環境や医療機器の不足が目立ち、国内での医療格差を感じた。こうしたなか、各医療施設がこれらの課題と向き合い1人でも多くの患者を救うために努力していた。ラオスの方々は穏やかで思いやりの精神にあふれる方が多く、研修以外でも充実した時間を過ごすことができた。

台湾 元培医事科技大学

日本人学生の主体性、サポートする台湾人学生

成田保健医療学部 作業療法学科 准教授 五味 幸寛
3キャンパスの学生73人と教員4人が研修に参加した。研修では元培医事科技大学の教職員と学生ボランティアによる協力のもと、台湾の医療制度やIT技術、中国語に関する講義を受けた。また、文化体験が豊富に組み込まれており、学生ボランティアとの交流が行われた。病院の視察は、新竹市や台北市などの5病院に受け入れていただき、ひとりの学生が2つの病院を視察することができた。主体的に行動していた日本の学生たちと献身的にサポートする台湾の学生たちの姿が印象に残っている。

  • 台湾・記念撮影

感動的だったTOMODACHI HOURの時間

成田保健医療学部 放射線・情報科学科 若松 拓未
台湾における医療福祉事情や文化、生活について触れる機会がとても多く、充実した研修だった。患者中心を重視した病院の努力や技術を学び、お互いの文化を理解し合うことができた。また、研修先の先生方や学生、通訳の方々などが私たちを暖かく迎え入れてくださり、台湾の魅力も十分に知ることができた。特に、最終日前日に行ったTOMODACHI HOURでは感動的な時間を過ごすことができた。関係者の方々のおかげで、はじめは不安でいっぱいだった海外研修が有意義なものとなった。

韓国 大邱韓医大学

リハビリ系、薬学部向けの講義が追加

福岡保健医療学部 医学検査学科 助教 西之園 栞
本研修は8月2日から11日間、3キャンパス7学科40人の学生、引率教員2人の計42人が参加した。例年、医学検査学科向けのカリキュラムだったが、今年度よりリハビリ系や薬学部向けの講義が追加され、充実した研修内容であった。現地学生がサポートに入る講義やTOMODACHI HOURを通して、学生交流が盛んに行われた。韓国の病院見学にも参加し、韓国の医療の現状を知ることができた。言葉の壁はあったが、積極的に学び交流したことで、海外の医療を学ぶ上で有意義な研修となった。

  • 韓国・研修の様子
  • 韓国・現地学生との交流会

視野が広がった

成田保健医療学部 医学検査学科 大越 美空
臨床検査技師の業務である、採血、病原性微生物の同定、病理検査のための組織固定や作業療法と理学療法を組み合わせてリハビリテーションとAIを融合させた新しい治療などを教授や現地の学生に教わった。言葉の壁はあったが、わかりやすく教えていただいた。また、クイズや折り紙など日本の伝統を通して友達の輪を広げることができた。実際に韓国の医療機関を見たことで日本との差を知ることができ、視野が広がった。この経験を生かし努力したい。

中国 中国リハビリテーション研究センター(CRRC)

東洋医学や最先端のリハビリロボットを体験

福岡保健医療学部 理学療法学科 助教 劉 振
今年度の中国研修には大川、成田、福岡国際医療福祉大学の3キャンパスの学生20人と教員2人が参加した。学生は中国リハビリテーション研究センター(CRRC)の中医科、漢方薬局、看護病棟、理学療法室、作業療法室、医学検査科、脊椎外科の各部門で病院スタッフに指導してもらった。中国最先端のリハビリ用ロボットを体験し、CRRCの関連施設である北京按摩病院の東洋医学センターで学生たちは鍼灸療法や吸い玉療法を体験できた。学生たちは漢方薬局で生薬を手で触ったり、特有の香りを嗅いだり、興味津々だった。

  • 中国・漢方薬局で生薬を扱う
  • 中国・最先端のリハビリ用ロボットを体験

異文化理解の貴重な経験

福岡保健医療学部 医学検査学科 香月 来光
中国リハビリテーション研究センター内にある検査部での研修は充実したもので、日本での検査室の環境と異なる点や院内の検査システムについても詳しく学ぶことができた。中国語が伝わらず戸惑いもあったが、検査室の方が英語で会話してくれたり、翻訳アプリを使ってくれたりし、実のある研修の時間を過ごすことができた。昼は病院での研修や施設見学、夜にはさまざまな郷土料理を食べることができ、さまざまな人々と関わり、異文化を理解する貴重な経験だった。

今回の研修日程

インドネシア ウダヤナ大学 2023年8月2日~11日
オーストラリア グリフィス大学 2023年9月2日~15日
カンボジア カンボジア国立保健科学大学 2023年8月5日~15日
フィリピン フィリピン大学 2023年9月5日~15日
モンゴル モンゴル国立医科大学 2023年9月5日~15日
ラオス ラオス国立健康科学大学 2023年9月4日~14日
台湾 元培医事科技大学 2023年8月5日~15日
韓国 大邱韓医大学 2023年8月2日~11日
中国 中国リハビリテーション研究センター 2023年8月5日~15日

これまでの学生の海外研修