WEB版サバイバーシップ

WEB版サバイバーシップは、同じような悩みや経験を持つ仲間による支え合いの場を支援いたします。

同じ経験を持つ患者さんの話から、「気持ちが軽くなる」「生活を快適に送る知恵」が得られます。また自分の経験が他の患者さんを支援することにもなります。

胃がん術後のパスタ店の店主(女性)

胃がん術後の食事の取り扱い方(体験者からのアドバイス)

肉料理:ビタミンBを多く含んでいるので、鶏肉か豚肉が一番良い。料理をする段階で柔らかくするには日本酒に漬け込みよくもむとよいです。

魚料理:できるだけ解凍物を使用。コツは沸騰した出汁(何でもよい)の中に2合~3合入れ日本酒、酢に漬け込み柔らかくするとよいです。

野菜:できるだけ新鮮なものを使用。冷凍食品は使用しない。繊維が多いのでレンジで暖めるか、オリーブオイルで和えて日本酒を注ぎ柔らかくして炒めるとよいです。

胃に負担をかけない為には、どんな材質も良質なイタリア産のオリーブオイルと日本酒を使用。味が円やかになります。味を濃くすると胃に負担がかかる為、すべての味は薄めにするとよいです。バターを使用するときは塩は控えめ、できるだけ無塩バターを使用するとよいです。

<管理栄養士の立場からコメント>

オリーブオイルには、オレイン酸が多く含まれています。オレイン酸の働きには以下2点あります。

  1. HDL(善玉)コレステロールを下げずに、動脈硬化予防の最大の条件であるLDL(悪玉)コレステロールだけを減らします。
  2. 酸化されにくく、発がんのリスクを高める過酸化脂質の発生を下げます。「バージンオイル」は冷圧法による一番搾りで加熱されていません。
  • オレイン酸の含有量 が多い「エクストラバージン」のものが良いでしょう。
  • 但し摂り過ぎには注意が必要です。
  • ご自分の体調に合わせて、少量から摂るようにしましよう。
  • 肉料理や魚料理は胃切除後に不足しやすい栄養素のビタミンB12や鉄を含んだ食品が多いと言えます。
  • レバーや貝類等を鉄の吸収を助けるビタミンC(野菜や果 物に 含まれる)を一緒に摂ることをお勧めします。
  • 貝類はよく噛んで、消化を助ける食べ方をして下さい。

男性 66歳 胃がん (手術時期2年以上前)

思ったよりも早く普段の生活(仕事)や食事に戻る事ができました。

2009年に腹腔鏡下による胃切除術を受け、その3年後に胃の別の部位を内視鏡下による切除術を受けました。思ったよりも早く普段の生活(仕事)や食事に戻る事ができました。

1.切除後に良かった点

  • 手術前にあった疼痛(胃もたれ感や差し込む疼痛)が劇的に改善されました。
  • 体重が減って体が軽くなりました。またお腹が凹み、それまでのLLサイズからLサイズの洋服が着られる様になりました。但し体重が減った分冬寒く感じます。

2.切除後に困った事

  • 食欲が多少減った感じがします。特に焼き肉や油濃いものは下痢の心配が有り、少し 控えています。
  • 大便の時間が少々不規則になり、特に冬寒い時に急に便意を催すことがあります。
  • 胃でアルコールを吸収しないため、酒量に気を付ける必要が有ります。

3.これから手術を受けられる方へ

  • 腹腔鏡や内視鏡での手術は、適正な診断と治療の元で行われます。
    担当の医師と相談し情報をもらい選択することが重要です。
  • 手術する際は、他の病気との合併症は要注意です。歯周病等口腔内の感染症が糖尿病や肺炎のリスクを高める事は周知の事実ですので、普段から口腔の健康を維持して下さい。
  • 消化器の悪性腫瘍の予防の1つとしてストレスをコントロールすることが大切です。入院・手術に際しては、家族の精神的なサポートが重要と感じました。

男性 72歳 胃がん (手術時期1年~2年以内)

工夫、解決法ではなく、むしろ食事で悩んでいます

1.年半経過しますが体重が増えません

平成26年12月6日(土)のワークショップの中の「胃切除術後に食事量が増えない理由」「胃切除術後に減った体重を増やしたい」についての動画をご参照いただくと参考になります。


2.メン類が駄目です特にらーめんすぐにつかえます

元に戻すため吐きます2時間ぐらいつらいです。 ちなみに私は全摘しました。
ホームページの情報ギャラリーの中華料理についての項目を参考にしていただける参考になります。

Q.職場に復帰してしばらく(1~3か月)したので、職場の同僚から週末に、私の大好きな中華料理を食べに行こうと誘われています。胃の手術後はじめての中華料理なので食べに行きたいのですが、どのようなことに気をつければいいでしょうか?

A.体調がよいのであれば、食べてはいけないものは特にありません。
基本的には楽しくおいしく、栄養バランスよく食べることが一番です。ただ、胃の手術後は胃酸や消化酵素の分泌が減ってしまうために、消化力が落ちています。そのため、油を多く使った料理は胃もたれを起こすことがありますので、注意しましょう。

手術後しばらく食べていなかったものは、ご自分の体調や食欲に合せて取り分け、最初は少量から食べてみましょう。中華粥、花巻(蒸しパン)、スープ、シュウマイ、水餃子、かに玉などがおすすめです。 ラーメンで使う中華麺には、かんすい(アルカリ塩水溶液)というツナギが入っていて消化がわるいので、注意しましょう。

女性 79歳 胃がん (術後22年経過)

<体調の変化を自覚してから不安なままに過ごした4ヶ月>

体調の変化を自覚してから診断がつくまでに約4ヶ月を要した。初めの体調の変化は体重が大幅に減ったことで、52㎏あった体重が6㎏減り46㎏となってしまった。その後、足が重く感じ、15分の道のりで2回も休むようになり、体力の低下を感じた。そして、胃の不快感を覚え病院に行ったところ、様々な検査を行い、早期の胃がんと診断され同時に告知された。


<信頼できる医師との出会い>

がんと診断されても通常と同じ生活が続き「信じられない」という思いが強かったが、手術の準備は少しずつ進められた。担当医は初対面で「私は以前がんセンターに勤務していた。早期のがんだから心配はいりません。」とにこにこと説明してくれた。その様子を見て「この先生に全てを任せよう」と思った。担当医は親切に細かく教えてくれるので、それ以来とても信頼している。


<胃の手術と同時に胆嚢も手術するなんて・・・・・>

胃の手術は、胃の下2/3を切除して残った1/3を十二指腸につなぐ手術をすることになった。そして担当医から「胃の手術をした人はその後に胆嚢が悪くなり手術をする人が3人に1人いる。術後の体力の低下も考慮し、同時に胆嚢も手術をして取りましょう」と説明された。始めは驚いたが、詳しく丁寧に説明していただいたので納得して手術に望むことができた。牧師さんから「共に祈っています」という言葉を聞き、怖さは消え楽になり手術の当日を迎えた。


<手術後、点滴だけで過ごした1週間>

手術後、2日目に室内を歩いた。痰が出なくて呼吸が苦しかったが、起き上がるのが少し楽になりそれと同時に呼吸も楽になってきた。手術後は点滴だけで過ごし、6日目に体重を測ったら、手術前と比べて2㎏減っていた。


<手術後、食事が開始となり少しずつ回復の兆候が見られた2週~3週間目>

2週間目に初めて看護師に手伝ってもらい、シャワーを浴びると髪の毛が沢山抜けた。ため息をついていると看護師が「また生えてきます。私たちも洗うたびに抜けますよ。」と慰めてくれた。痛み止めが中止になったら、痛みが止まらなくなった。胸がむかむかすることがあった。手術して9日目に流動食が開始されたがほとんど食べられなかった。その日の夕方には3分粥となり、半分食べられた。手術をして1週間目に体重が2㎏減ったが、2週間後には更に2㎏減った。食事は5分粥となったが、つかえている感じが残った。2週間後に初めて入浴した。とても気持ちが良かった。医師からなるべく身体を動かすように指導され、階段昇降や近くの公園を散歩した。少しずつ食事は食べられるようになった。胃のつかえ感があり、胃痛で夜中に目が覚めたが、便が出てすっきりした。


<食べるのがとても大変だった退院直後>

手術をして約1ヵ月後に退院した。食後は旨のつかえ、だるさ、吐き気があり2時間その状態が続くのでゆっくりと食べ、すぐ右下にして30分ぐらい横になった。食事に関して、1回に50~70回噛むように、食べるのが仕事だと思いなさい、1食分を2回に分けて食べなさいといろいろ言われたが難しい・・・・・。
元気な時は体重が52㎏だったが、今は38kgになってしまった。


<追い討ちをかけるように虫垂炎で手術>

退院して10日後、朝から胃が苦しく夜になっても眠れない。翌日に病院に入院となった。右下腹部に痛みが集中してきた。最初、担当医は腸閉塞を心配していたようだが、虫垂炎だった。翌日には手術をする。
手術後、2~3日は何も食べられなかった。8月というのにとても寒くカイロを使った。1週間後に退院となったが、歩くとふらふらした。食欲もなく家事もしたくない。胃の手術をした時よりも気力がなかった。教会へ行って賛美歌を歌ってみたが声がかすれて出ない。
1ヶ月後、すこしずつ回復した。


<突然、白と黒の世界に・・・・・>

手術後5ヵ月ぐらいしたころ、買い物中に物の色がなくなり白と黒しか見えなくなった。座って休んだら元に戻る。同じようなことが3回続いたので心配となり担当医に相談した。 担当医は「ダンピング症候群の症状です。食後2時間ぐらいで急激に血圧が下がり動機・吐き気、下痢、眠気が出て、そのような症状が出ることがあります。糖尿病の人が低血糖になるのと同じです。その時は、チョコレートやキャラメルを食べて少し動かないでいると改善します。」と説明してくれた。


<手術をして22年後の現在>

肉類が苦手となったが、食べ物の好き嫌いはいわずまんべんなく食べるようにしている。手術をして22年だが、油断すると下痢が続くことがあり、自分自身の健康管理は難しいと感じている。日々、生かされている事を主に感謝してお委ねしている。

男性 64歳 胃がん (手術時期2年以上前)

術後4年を迎えました。今も元気で仕事ができていることは執刀医の先生、アドバイスをいただいた教員、病院の皆様に感謝いたします。

病名を聞いたときはやはりショックでしたが、素直に受け入れ手術に備えました。特別な生活スタンスを変えることはありませんでしたが、以下のことに注意し手術に備えました。

1.飲酒はやめる。
2.風邪などひかないように注意する。

術後は(術前も同様)医師、看護師の忠告は愚直に守る。

1.食事はメニューに沿ったものはもちろんどうしても術前の量が記憶にあるので食べ過ぎない事と味は薄めにしました。

現在も体重の推移は記録して太らないように心掛けています。

また、人と会ったとき良く言われたのが「栄養を取った方がいいのでは」とか心配してくれるのは大変ありがたいですが、惑わされないように気を付けました。

2.歩行等リハビリはメニューよりは若干多目に行いました。
3.術後1か月、退院から20日で職場に復帰しました。

①当初は3時間~5時間の仕事量を行いその後2週間ごとに時間を増やしました。

②3か月後には手術まえと変わらない仕事量、時間まで回復しました。

③飲酒は現在も断っています。(気持ちが向かないので禁酒しています)
刺激物等は女房から避けるよう言われていますので摂ってはいません。術後かわった事は、禁酒と刺激物を控える事の2つです。特に先生からは避けるように言われているわけではないですが、自分の気持ちとして避けています。

④仕事がリハビリと思いなるべく歩くようにしています。仕事のある日は13,000歩~多い時で17,000の歩数です。

⑤職場復帰で特別困ったことはありませんでしたが、私の場合は通勤時の排便には神経を使いました。

術前に比べ急に催すことがあり、トイレの場所、使いやすさ等々網羅して対応しています。

女性 68歳 胃がん (手術時期2年以上前)

気分転換と体力向上への工夫

術後2年経過後に2週に1回スポーツクラブでエアロバイク15~20分・ヨガなどで体を動かし気分転換をしました。

6年経過後ではバイク30分・コアヒーリング・気功法などで体の調子を保ってます。プールでの歩行は、水圧で前に進む事が出来ませんので、止めました。

鉄剤の吸収が良くないので鉄剤の点滴を受けましたが、私の場合、アレルギーで赤みと痒みがでました。

男性 65歳 胃がん (手術時期2年以上前)

定期的に通院し、健康管理が必要

腹腔鏡下切除術で約40%の胃を切除をいたしました。その際、胃の入口出口(噴門幽門)を切取ることなく手術して頂きました(センチネルリンパ節流域切除を伴う胃分節切除術)。此のため、術後の回復は驚くほど速く、術後2週間で現職に復帰することができました。検査でも浸潤はなく済みました。その後も順調な経過をたどりました。

また、定期的な胃カメラの検査を継続いたしておりましたところ、早期食道がんを発現いたしました。ここでも内視鏡下粘膜下層剥離術(ESD:内視鏡から電気メスをいれて、癌のある粘膜を剥ぎ取る手術で、食道の切除を行わない方法です。)で患部を取除していただきました。

5日間の入院で済み、退院後すぐに現場復帰することができました。2度にわたる治療を受け、すぐに現場復帰できましたことに、心底感謝申し上げる次第です。

胃切除のとき、胃癌治療ガイドラインでは「日常診療で推奨される治療法選択」ではなく、「臨床研究としての治療法」とされる内容の手術をして頂けた事で、私のQOLが低下することなく元の生活に戻りました。数少ない事例と思い投稿させていただきました。

  • 投稿募集
  • WEB版サバイバーシップ
  • 関連情報リンク
  • ワークショップの映像はこちら
  • 三田病院
  • 大学病院
  • 国際医療福祉大学・高邦会グループ