一般の方へ

治験のステップ

治験のステップ

治験は、「くすりの候補」を国(厚生労働省)から「くすり」として認めてもらうために行う、健康な方・患者様にご協力いただく臨床試験で、通常以下の3つのステップを踏んで進められます。

第I相臨床試験(Phase I):臨床薬理試験

少人数の健康な成人の方にご協力いただきます。ごく少量から少しずつ「くすりの候補」の使用量を増やしていき、安全に使用できるかを調べます。また、「くすりの候補」がどのくらいの速さで体内に吸収され、どのくらいの時間でどのように体外に排泄されるのか、血液や尿などの中に存在する「くすりの候補」の量を測って調べます。

体に現れた変化が「くすりの候補」の影響かどうかを確認するため、プラセボ*を使って、比較することもあります。また、「くすりの候補」の種類によっては、効果があると予想される患者様から治験を始めることもあります。
この最初のステップを『第I相試験』(臨床薬理試験)と言います。

※プラセボ…くすりの成分が含まれず、見た目や味が「くすりの候補」と区別がつかない偽薬

第II相臨床試験(Phase II):探索的試験

第Ⅰ相試験で「くすりの候補」の人での安全性が確認できたら、「くすりの候補」が効果を示すと予想される病気の患者様にご協力いただきます(この段階では通常、比較的少数の患者様にご協力をお願いしています)。病気への効き目(有効性)や安全性、またどのような使い方(使用量・使用の間隔・使用する期間など)をしたらよいかを調べます。効き目や使い方を調べるのに、いくつかの使用量を用いたり、プラセボを使用したりして検討をします。

また、標準的な「くすり」がある場合には、それと比較することもあります。 このステップを『第II相試験』(探索的試験)と言います。

第III相臨床試験(Phase III):検証的試験

第II相試験の結果から得られた「くすりの候補」の有効性、安全性、使い方を多数の患者様にご協力いただいて確認します。確認の方法は、現在使われている標準的な「くすり」がある場合にはそれとの比較、標準的な「くすり」がないときにはプラセボとの比較が中心になります。 また、長期間使用したときの有効性や安全性を調べることもあります。
この最後のステップを『第III相試験』(検証的試験)といいます。

適切なデータを集めるために

治験では「くすりの候補」とプラセボや標準的な「くすり」との比較や、「くすりの候補」の投与量の間の比較等を行います。「くすり」の効き目や安全性を科学的に証明するうえで、こうした比較試験は大変重要で、比較したいもの以外の条件を同じにする必要があります。そのため、治験はご参加いただく方の条件をそろえたり、同じ時期に検査を受けていただいたり、毎回同じ医師が診察したり等、様々な決まりごとが設けられています。また、「くすりの候補」の評価を公平かつ先入観なく行うために、治験に参加される方がどの薬剤をどのような方法で使用するのかをくじを引くような方法で決めたり(「無作為化割り付け」と呼ばれます)、治験を行う医師や参加された方が、どのようなお薬を使用しているのか分からないようにする方法(「二重盲検法」と呼ばれます)などを使用して試験が実施されます。
治験はこのように科学的に計画されています。

治験が終わったら

第Ⅲ相試験まで終了したら、「くすり」を開発している製薬企業がそれまでの治験を含むすての試験データをまとめて、国(厚生労働省)に「くすり」として認めてもらうよう申請します。 厚生労働省はデータを確認し厳正に審査をします。厚生労働省による審査の結果「承認」されることによって初めて、「くすりの候補」が「くすり」になります。