お寄せいただいた多くの作品が、それぞれの生活や体験を通して、医療や福祉に目を向けるきっかけとなった
エピソードや思いを綴った、すぐれた作品でした。審査結果は以下の通りです。
氏名 | 林 芽菜(ハヤシ メイナ) |
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作品名 | 未来へと築き上げる物語 |
学校名 | 千葉県立千葉北高等学校 |
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氏名 | 小鷹 愛奈(コタカ マナ) |
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作品名 | 綺麗事の、その先 |
学校名 | 学習院女子高等科 |
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氏名 | 小林 菜摘(コバヤシ ナツミ) |
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作品名 | 助け、助けられ~私はみんなと生きていく~ |
学校名 | 盈進高等学校 |
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氏名 | 奥村 英里(オクムラ エリ) |
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作品名 | 言葉は届く~吃音の彼に学んだこと~ |
学校名 | 岐阜県立岐阜北高等学校 |
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氏名 | 吉田 美来希(ヨシダ ミルキ) |
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作品名 | 兄が導いてくれた道 |
学校名 | 静岡県立韮山高等学校 |
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氏名 | 佐原 智帆(サハラ チホ) |
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作品名 | 幸せとは何か-障がい者と仕事- |
学校名 | 女子学院高等学校 |
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氏名 | 平良 珠夏(タイラ シュカ) |
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作品名 | 駐車場から始まる心のバリアフリー |
学校名 | 沖縄県立宮古総合実業高等学校 |
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氏名 | 玉置 結衣(タマキ ユイ) |
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作品名 | 「できることから始めよう」 |
学校名 | 和歌山県立きのくに青雲高等学校 |
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氏名 | 八染 まどか(ヤソメ マドカ) |
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作品名 | 自然な支え合い |
学校名 | 栃木県立盲学校 |
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氏名 | 渡邉 咲季(ワタナベ サキ) |
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作品名 | 夢 |
学校名 | 青森県立青森高等学校 |
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※各賞受賞者のお名前は、五十音順で記載しています。(敬称略)
都道府県 | 山形県 |
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学校名 | 山形県立山辺高等学校 |
都道府県 | 茨城県 |
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学校名 | 茨城県立水海道第一高等学校 |
都道府県 | 茨城県 |
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学校名 | 常総学院高等学校 |
都道府県 | 栃木県 |
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学校名 | 宇都宮文星女子高等学校 |
都道府県 | 群馬県 |
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学校名 | 群馬県立吾妻高等学校 |
都道府県 | 大分県 |
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学校名 | 岩田高等学校 |
都道府県 | 沖縄県 |
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学校名 | 沖縄県立名護高等学校 |
昨年実施した「第8回『共に生きる社会』めざして 高校生作文コンテスト」において最優秀賞、優秀賞、佳作を受賞した4名が、副賞の「ベトナム医療福祉体験ツアー」に参加し、ホーチミン市を訪れました。参加者は、現地の医療福祉の実情を垣間見るとともに、さまざまな文化や習慣に触れるなど多くの貴重な体験をしました。
【日程】2018年3月25日(日)~3月30日(金)
【主な訪問先】
国立チョーライ病院、JICA南部事務所、在ホーチミン日本国総領事館、身体障害児童施設、ホーチミン市内・郊外視察(メコンデルタ、サイゴン大聖堂、戦争証跡博物館、統一会堂 など)
林 芽菜(千葉県立千葉北高等学校 3年生)
まず初めに、今回のベトナム医療福祉研修を企画運営してくださった関係者の皆様、現地でご協力いただいた皆様、作文を書くにあたりご指導いただいた千葉北高等学校の先生をはじめとする皆様、一緒に研修に向かった仲間たちなど、たくさんの方々のご尽力があり、本当に貴重な経験をさせていただいたこと、厚く御礼申し上げます。
この研修を終え、私の手元には、ノート30ページ分の学びが残った。そのすべてを伝えることは難しいが、少し振り返ってみたいと思う。
今回、私がこの研修で最も重要視していたことは、日本とは違う文化・国民性を持つ国で、私の知らない世界・想像では追い付かない世界を見て、感じて、学ぶということ。
ベトナムの南部拠点病院である、チョーライ病院を訪ねた私たちの目に映った光景は、日本ではあり得ない光景であり、劣悪な環境といってもおかしくないものだった。1900床あまりのキャパシティを持つ大病院に、一日 2700人近くの入院患者が溢れ、病棟はまさに「飽和状態」。病室や廊下には、簡易ベッドやストレッチャーが並べられ、身の回りの世話は看護師ではなく家族が行う。もちろんエアコンなどはなく、衛生面も良好とは言えない。病院のスタッフの方は、「患者数が多すぎて、コミュニケーションの枯渇に悩まされている。」とおっしゃっていた。
ここまでの感想は、「劣悪な環境」だと感じた。しかし、それはあくまで私の想像の世界の話で、患者さんやご家族にお話を伺うと、チョーライ病院のような大きな病院で最高峰の医療を受けることが出来るのは、本当に幸せなことだ。と皆が口をそろえて言う。なかには、最高峰の医療を求め、地方省から6時間以上かけてきた人もいた。私は勝手に自分の価値観で「幸せ」を決めつけていたことに気づいた。
障がいを持つ子供や貧困層の子供たちがいる施設では、多くの子供たちと触れ合うことが出来た。もちろん、言葉は通じない。しかし、本当に必要なものは言葉ではないと気づかされた。「笑顔」が人と人のつながりを築いている。そう感じさせてもらえた。
JICA や日本国総領事館では、ベトナムと日本の関係や、日本が行っている支援についてお話を聞かせていただいた。日本がこれまでベトナムに行ってきた支援は数多くあり、その支援にベトナムの方々は「ありがとう。日本が大好き!」と街中を歩く私たちに感謝の言葉を口にしていた。私たちの支援がベトナムの方々の日常を豊かにし、彩りを加えていることに嬉しさと誇らしさを感じた。
私たちが住むいわゆる「先進国」で当たり前の出来事は、ベトナムでは当たり前ではない。しかしその逆も言える。当然であるが、その国の文化や環境に応じて「幸せ」の価値観も、当たり前の出来事も違うのだ。それでも、先進国から多くを学び、さらに良くしようという「上昇志向」は、今の日本人が学ぶべき姿だと感じた。先進国が全て良い・正しいとは限らないと強く思った。
この研修を通じて、想像を超える「現実」や「価値観」の違いを感じた。その国それぞれの彩りがあり、文化がある。その伝統を守りながら、「発展」の手助けをする。それが我々支援者側に求められることで、その国の持つ力をいかにサポートできるかが大切だと思う。
4月から私は看護師を目指し、大学に通っている。この研修で学んだことを最大限に生かしながら、「患者さんの生きる力を信じ、サポート出来る看護師」を目指して、日々努力していきたい。
なによりも本当に楽しく、学びある研修だった。心から感謝をして。
小鷹 愛奈(東京都・学習院女子高等科 1年生)
ホーチミンの空港を出ると少し湿気のあるもわっとした夜で、東南アジアの雰囲気を感じられました。ホテルに向かう車の中で見た街はネオンの明かりで溢れていました。
2日目の病院見学では患者さんの多さに驚きました。開院前からたくさんの人が病院の前に並んで待っていて、病院が開いてからもたった3時間程で何千人もの方が来院されると聞き大変なことだと思いました。また病院の先生からベッドの数に対して患者さんの数がオーバーしているという説明がありましたが、実際に現場を見て状況を知り驚きました。廊下にまでもベッドが並んでいて診察室の前では長い列を作って自分の順番を待つ方が溢れるほどにいらっしゃって日本では見ない光景で圧倒されてしまいました。けれど同時にチョーライ病院は皆が診療してもらいたいと思うほどの技術がある大きな病院なのだという事も分かりました。ベトナムの文化として家族が患者さんの面倒を見ると説明を受け、実際に病院を見学していると家族の方が隣についてご飯を食べさせてあげていたり、暑さを和らげるために扇いであげたりしていました。けれど医療に対して素人である家族がつきっきりで看病するのは大変だし、家に残っている家族のこともあって負担が大きいなと思いました。家族が世話をしなければならない状況であるという事はやはり看護師の数がまだ少ないということがあるからだと思いました。また、家族が絶えず病院を出入りするので万が一院内感染が起こった場合は深刻な事態を招くことになると思います。その状況を改善するには今まで世話をしていた家族に代わることのできる医療関係者やボランティアを多く育てることが必要だと思いました。
観光で周った市内の昼間はバイクや車が道路を行き交い、忙しさがあって夜でも人が多く活気がありました。私はベトナムなどの東南アジアの料理が普段から好きで、よく食べていますがやはり本場の味はその何倍も美味しくて雰囲気も素敵で、連れて行っていただいた大学の方々にとても感謝しています。
この経験を通してベトナムの医療事情をほんの少し知ることができたので将来JICAのボランティアプログラムに参加したいという思いが強くなりました。
最後になりましたがこのような貴重な機会を下さり、サポートしてくださった大学関係者の皆様、本当にありがとうございました。
奥村 英里(岐阜県立岐阜北高等学校 1年)
「36度のベトナム」
家族以外と海外に行くのも東南アジアに行くのも初めてではなかったのに、ベトナムに足を踏み入れた時、妙に緊張していました。将来世界と日本をつなぐ仕事がしたいと思っており、今回の研修では医療と福祉を国際協力の面から考察しようと決めていた私。そんな高らかな目標を達成できるのか、何かを日本に持ち帰ることができるのか、オリエンタルな香りに触れながら不安を感じていたのだと思います。
しかし、チョーライ病院で受けた衝撃で、そんな不安を感じる隙もなく考え続ける研修が始まりました。一般病棟に溢れ返っている患者さん。歩くのもままならないほどに並べられたストレッチャーに寝ている方や地べたに座り込んでいる方もいて、日本では見たことのない光景に胸が痛みました。説明を受けて、チョーライ病院がベトナムの3大病院の一つで、他の病院よりもレベルの高い治療ができるということ、ここで診てもらいたいと毎日5000人以上が来院することを知りました。つまりそれは、私が「ありえない」と思った現実がベトナムの人にとっては「普通以上」であるということ。日本の支援をどこか誇りに思っていたのに、その支援がベトナムを先進国色に染めてしまっているのではないかと怖くなりました。国際協力は、その国の価値観を壊してしまうのかと問うようになりました。
答えは、色々な立場からベトナムを見ることで近づけたような気がします。病院以外にもたくさんの施設を見学させていただいて、観光もして、たくさんの人に出会いました。障害児施設で心から感じた「どの子もみんな本当に平等にかわいい」という気持ちや、街でベトナム人が日本の支援への感謝を伝えてくれたことなど印象的な出来事はたくさんありましたが、その中でも特にJICAの方に教えていただいたことが大きなヒントになりました。「国際協力は、魚の釣り方を教えること。」聞いたことはありましたが、私の中に疑問が生まれていたからこそ、より深く響きました。知らないことは、不幸です。ただ、知ったうえでそれを使うかどうかは、自由です。魚の釣り方を教えるということは、国際協力とは、選択肢を増やして未来の幅を広げることなのかもしれないな。そんな風に思えるようになりました。
正直、今回の研修では自分の知識・経験不足を痛感しました。だからこそ、大学では国際協力の意義やこれからの日本の在り方などをより専門的に学びたいと強く思います。実際に見て、聞いて、話したから新たにできた自分の気持ちを大事にしてあげたいです。
最後になりましたが、とっても個性的な大好きな参加メンバー3人・優しくて面白い引率の佳小里先生、ツアーの手配をして下さった立花さん、ガイドのブンさん、今回も温かく送り出してくれた両親、このツアーに関わってくださった全ての人に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
連日36度の暑い暑いベトナムが大好きです! 絶対にまた来ます! Cam on!(ありがとう!)
吉田 美来希(静岡県立韮山高校 2年)
「グローバルな視点で看護を考える」
私は今回の医療研修で、医療の発達と保健衛生が、日本とベトナムではどう違っているのか、そして、将来医療人になろうとしている私達に何ができるのか、という課題をもち参加しました。
訪れたベトナム・ホーチミン市は、近年経済発展していると共に、人々が増え続けています。今回ホーチミン市にある『チョーライ病院』を見学させて頂きました。ベトナム南部の基幹病院であり、毎日5000人以上の人が受診します。ベトナムは道路状況が整っていないため、交通事故による外傷の患者さんが多いそうです。実際に救急を訪れましたが、日本とは比べられないくらいの速さで多くの患者さんを治療しています。この状態を改善するには、まず交通網を整備する必要があると思います。しかしバイクが人々の足になっており、違反をしてもワイロで解決してしまうこともあると聞いて、医療の発達だけでは解決できない問題だと思いました。ただ、今、JICAと日本企業参加のもと、鉄道計画が進められているそうです、交通事故で運ばれてくる患者さんが減る日も近く訪れるのではないかと思いました。
日本の病院は看護師一人当たりの受け持ちを少人数にし、手厚い看護が当たり前です。しかしチョーライ病院ではベッドの横にストレッチャーまで入れて部屋はぎっしりの状態です。それだけでは足りず、廊下やベランダにまで、所狭しとストレッチャーが並んで患者さんが横になっています。付き添いの人も多いため、病院の中は人でごった返しているという印象です。日本では考えられないと思いますが、そうするしかないのだそうです。患者さんの治療が最優先のため、看護の部分は置き去りにされています。患者さんのことを考えれば、今のままでよいわけがなく、新しい病院を作る計画がすすんでいるそうです。
保健衛生の面では、ベトナムには母子手帳や検診制度が確立されておらず、新生児死亡率も高い傾向にあるそうです。一時、JICAの協力のもと、母子手帳が使われたこともあったようですが定着しなかったとのことでした。医療は少しずつ進んでいますが保健衛生の分野はまだまだ整っていない現状だと思いました。
今回の医療研修に参加して、看護や保健衛生の必要性を再認識しました。ベトナムは笑顔でおおらかない性格の人が多いです。しかし医療や保健を充実させていくためには、時に人々に今とは違う考え方を持ってもらうことも必要ではないかと思いました。私も研修を通して今までとは違った角度から医療を考えなければいけないと痛感しました。今後医療の仕事に就くことができたら、日本国内だけでなく、海外にも目を向けていきたいと思います。グローバルな視点で共に生きる社会を考えていくことが大切なのだと気づくことができました。
今回、このような貴重な体験をさせて頂きたくさんの学びがありました。少しだけ成長できたかな? と思います。携わって頂いたすべての方々に感謝いたします、ありがとうございました。
高校生作文コンテスト応募・問い合わせ先
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