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4月22日(日)、「第1回 IUHW国際医学教育シンポジウム」を成田キャンパスで開催しました

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ピッツバーグ大学 ジョンF・マホーニー教授

 国際医療福祉大学は平成30年4月22日(日)、10カ国から約30名の来賓を招き「第1回 IUHW国際医学教育シンポジウム」を成田キャンパスで開催しました。アメリカの医学教育の第一人者であるピッツバーグ大学のジョンF・マホーニー教授(医学教育担当副学部長)や本学に医学部留学生を推薦しているアジアの提携医科大学の学長、医学部長らと政府関係者、本学から高木邦格理事長、大友邦学長、医学部教員らが参加し、世界の医学教育のあり方やアジアを中心とした国々とその提携大学における医学教育の課題や取り組みについて話し合いました。

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    本学医学教育統括センター長 赤津晴子教授
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    留学生派遣提携大学7校トップとのパネルディスカッション

 冒頭、大友学長が開会の挨拶で「各国の医学教育の共通点、相違点を認識することが重要で、そこから将来の次のステップが見出せる」と開会宣言した後、マホーニー教授が「医学教育の今日の動向と将来の方向性」をテーマに基調講演されました。
 マホーニー教授は現在の医師像について、「患者は常に医師に対して、一定の成果を求める高い期待値をもっており、その重圧に応えられる医師を養成しなくてはならない」と指摘。そのためには、医学教育のなかでアクティブラーニング(能動的学習)や統合的カリキュラムが有効な手段とし、「教科書にはない堅固なトレーニングが必要だ」と述べました。
 現代の学生はIT社会の環境のなか常に情報に接しており、「学生自身がコントロール権、発言権を持って、主体的に学びたいと考えている」と紹介し、こうした学生に対して「不確実性に対する適応力が必要で、トライできる環境、たとえばアクティブラーニングなどを通じて、物事の背景を学び、クリティカルシンキングを身につける場を提供すること」などと語りました。また、これからの医学教育で養成すべき能力のキーワードとして①コンピテンシー(高い成果を発揮できる専門職の行動特性)②マイルストーン(コンピテンシーを段階的に修得できるようレベルと時期を設定したもの)③EPA(Entrustable Professional Activities=任せることができるかどうかという観点で修得状況を評価する専門職の業務)などが挙げられました。
 続いて本学の医学教育統括センター長の赤津晴子教授が「1年間の医学部教育を振り返って」と題してプレゼンテーションを行いました。赤津教授は本学医学部について、「国際的なマインドを備えた21世紀に向けた医師を育成する」ことを理念に掲げて教育していることを紹介。21世紀には、指数関数的に増加する医科学情報と、更に進むチーム医療を背景に、「教員から発信された情報をキャッチして暗記する」、といった20世紀型の受け身の学びではなく、「自ら情報を取得、吟味、選択、統合する能力」、及び「高いコミュニケーション能力」要請が不可欠であることを強調。そしてそれが生涯教育の基盤となることを述べました。
 一方、「国際的視点からの医学教育」には、国際水準に則った教育、国際的な多様性を取り入れた教育、国際的な医療問題を取り入れた教育、国際的に認められるアウトカムを担保する教育、といった複数の視点があること。そして本学はその全ての国際的な視点を取り入れた医学教育導入を目指していることが紹介されました。具体的には本学医学部1学年定員140人のうち20人の留学生が在籍しているとともに、14カ国、約30人の外国人教員が教育に携わっていること、6年次には4週間以上の海外研修を必修化していること、さらに英語教育が充実しており、1期生のTOEFL ITPの平均点が入学9ヶ月後には、入学時より32点のスコアアップの551点となり、英語圏の大学留学に必要な中上級レベル(CEFR B2 Level)のスコア543点を超えたことなどが報告されました。
 赤津教授は「本学の医学教育のイノベーティブなプロジェクトは本学だけのプロジェクトではない、国際的なプロジェクトだ。ここに参集のみなさまをはじめ、多くの知見を集約して、みなさまと一緒に、これまでとは次元の異なる医学教育を創造していきたい」と締めくくりました。
 引き続き、ホーチミン市医科薬科大、ハノイ医科大、ヤンゴン第一医科大、モンゴル国立医療科学大、カンボジア国立保健科学大、ラオス国立保健科学大、インドネシア・ウダヤナ大の留学生派遣提携大学7校が、「自国の医学教育の特徴と課題」についてそれぞれプレゼンテーションを行い、その後マホーニー教授と赤津教授が加わり、パネルディスカッションが行われましました。質疑応答では、ハンガリー、ロシア、フィリピンからの参加者からのコメントをはじめ、多くの参加者からの質問が相次ぎ、有意義、活発な意見交換の場となりました。

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