タバコのリスクについて   
 タバコ煙に含まれる化学物質  約4000種類もの化学物質が含まれています。 この中には、200種類以上の有害物質と約60種類の発癌物質が含まれています。
 例を挙げれば、一酸化炭素、アルファ線をだすポロニウム−210、アルデヒド類、ニトロソアミン類、多環芳香族炭化水素類(PAH)などです。
 タバコの習慣性の背景にはニコチン中毒があります。タバコ煙中には、純粋なニコチンだけでなく熱分解過程で種々のニコチン派生分子が含まれており、これらの派生分子がニコチン中毒を増強すると考える研究者もおります。
 軽いタバコならその分安全じゃないの?  パッケージ表示のニコチン量・タール量は、機械喫煙装置をつかって国際標準化機構(ISO)の方法で喫煙した時のタバコ煙を回収して測定した結果を示したものです。決して、生身の人間が喫煙した時に体内に吸い込まれる量ではありません。日本人喫煙者100名で調査した結果、平均的な吸煙量は、ISO法の機械喫煙吸煙量より多く、かつ、弱いタバコの喫煙者ほど深く頻繁に吸煙する事が判りました。唾液中のニコチン代謝産物コチニンで評価すると、表示量で10分の1量のタバコを喫煙していても、唾液中のコチニンは3分の1の低下に留まりました。
 実際、1970年代からレギュラータバコから低タールタバコへのシフトがおこりましたが、欧米でも日本でも肺がん罹患率の低下は認められませんでした。
 タバコの健康リスク  喫煙は、肺がんや口腔癌や慢性の呼吸器疾患だけでなく、様々な疾患のリスク要因になっています(たばこリスク図)。
 間接喫煙のリスクってどの位?   非喫煙者であっても環境中のタバコの煙を吸い込むことによって健康影響を受ける場合があります。喫煙に関連した肺癌やその他の癌のリスクが高まるほか、呼吸器や心臓疾患患者さんの病勢を悪化させることが知られています。
 最近、住民ベースの縦断調査によって夫が喫煙者の非喫煙日本人女性で、間接喫煙によって肺腺癌のリスクが2倍に上昇することが報告されています(Int. J. Cancer: 122: 653, 2008)。家族の健康を守るためにも、禁煙しましょう。
 医療現場の禁煙運動   厚生労働省は、平成22年2月25日に健康局長名で、受動喫煙防止の観点より、官公庁や医療施設などでは、全面禁煙とすることが望ましいとの通達を出しています。国際医療福祉大学病院でも、全面禁煙措置が執られています。また、禁煙外来を設置するためには病院の全面禁煙が条件となるため、院内全面禁煙措置を実施する施設が増えています。将来医療福祉分野で活躍する本学学生の皆さんには、実習前、遅くとも就職までに、是非、禁煙してもらいたいものです
 禁煙外来  禁煙外来を開設している栃木県内の医療施設の一覧は、以下のURLに書かれています。 http://www.eonet.ne.jp/~tobaccofree/hoken/tochigi.htm