個人賞
※各賞受賞者のお名前は、五十音順で記載しています。(敬称略)
学校賞
県 | 学校 |
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埼玉 | 埼玉県立誠和福祉高等学校 |
埼玉 | 埼玉県・国際学院高等学校 |
千葉 | 千葉県・千葉国際高等学校 |
東京 | 東京都・専修大学附属高等学校 |
東京 | 東京都・八王子学園八王子高等学校 |
神奈川 | 神奈川県・鶴見大学附属高等学校 |
静岡 | 静岡県・日本大学三島高等学校 |
大分 | 大分県・岩田高等学校 |
審査委員 | 北島政樹 国際医療福祉大学学長(審査委員長) 矢﨑義雄 国際医療福祉大学総長 金澤一郎 国際医療福祉大学大学院院長 杉原素子 国際医療福祉大学副学長 久常節子 国際医療福祉大学大学院副大学院長 菊池哲郎 国際医療福祉大学総合教育センター長 和田秀樹 国際医療福祉大学大学院教授 冠木雅夫 毎日新聞社東京編集編成局専門編集委員 |
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参加者: | 井上奈々さん |
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期 間: | 2013年3月28日~4月2日 | |
内 容: | 1日目 | 羽田国際空港 ⇒ 北京へ |
2日目 | 北京滞在 |
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3日目 | 北京滞在 |
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4日目 | 北京滞在 |
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5日目 | 北京滞在 |
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6日目 | 北京 ⇒ 羽田国際空港へ |
ツアーの様子 (クリックして拡大できます)
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参加者レポート
中国医療福祉体験ツアー 新田青雲中等教育学校 井上奈々
「中国と日本は近いようで遠い国。」これは私がこのツアー中に耳にし、ハッとさせられた言葉。私がこのツアー中に嫌という程考えられた事。初めて訪れた中国で、感じた事は書き出すと終わりが見えない。それぐらい学ぶ事が多かった。
まず、リハビリテーションについて。私は今までにリハビリを受けた事も、実際のリハビリを目にする事は一度もなかった。だが、リハビリとは…という勝手なイメージだけは頭の中にあった。その私が持っていたイメージ。それが今回のツアーで消え去った事は言うまでもない。あんなにたくさんの人で埋め尽くされたリハビリ施設。賑やかな声。あちらこちらで見られる素敵な笑顔。私は驚くしかなかった。実際に日本のリハビリを知っているわけではないが、日本でこの光景を見受ける事はまずないだろう。日本から青年海外協力隊で理学療法士として中国に滞在して一年になる方もおっしゃっていた。日本とは違うと。中国では家族の絆がものすごく強いらしい。リハビリをする時も、家族が何人も付添い、時にはリハビリを手伝う事もあるのだとか。実際に私が見学させていただいた施設でも、本当に家族の数がすごかった。通路もよけながら歩かないといけない程人で溢れ返っていた。温かいな。私は感じた。家族の力って大きいな。改めて考えさせられた。中国のリハビリテーションの発展を目にする事もできた。だが中国には八千万人以上の障害者がいるらしい。ものすごい数だ。実際、ツアー中の数日間至る所で障害者の方を目にした。今の中国では、まだまだ十分なリハビリを提供できるだけの場やPT、OTなども足りてはいないらしい。だが私は思う。こんなにも人と人との繋がりが強い中国なら、きっとリハビリテーションも発展していくだろうと。そしてより多くの障害者の方を救ってくれることだろう。期待している。
このツアーで私が強く感じた事として、もう一つに、日本と中国の関係についてがある。出発前、日本ではPM2.5や領土問題など多くの事が取り上げられていて、少し不安はあった。だが実際に行ってみてどうだろう。中国の方でマスクをしていた人を見た覚えがない。メディアで取り上げられているような事も何一つない。笑えるな。私は思う。ニュースでも何でもそうだが、ほんの一部分しか見ずに、話を飛躍している。何のあてにもならないし、事実でもない。中国も同じだそうだ。私は今回のツアーで中国の良い所も、まだまだ発展させるべき所もたくさん見つけた。日本も同じ。せっかく近い国なのだから、お互いの良い所から刺激を受け合い、進んで行くべきだ。今のように、悪い所ばかりを見ていては、今後の日本の発展なんて期待できないだろう。私はツアーでたくさんの素敵で優しく活気のある中国人に出会えた。この素敵な出会いと経験を忘れず、将来に生かしてみせる。まだどこかで会える事を願って…。
中国医療福祉体験ツアーに参加して 富山県立高岡高等学校 宗田千奈
私が中国リハビリテーション研究センターを見学して感じたことは、「つながり」を大切にしているということだった。例えばそれは、中国における病院と病院のつながりである。インターネットを利用して会議や遠隔教育を行っているそうだ。また、盲目の方がマッサージ師として社会貢献する援助をしているという話も聞いた。これも障害を持った方と社会のつながりを作り出している一例だろう。このように様々なつながりがある中で、最も私の印象に残っているのは、中国と日本のつながりである。
1998年のリハビリテーション研究センター建設当初から、施設設置や理学療法士、作業療法士の養成において、日本の援助を受けていた。現在も互いの国が海外研修国の一つとなっており、多くの研究生を受け入れ、また派遣しているそうだ。「このセンターの医師は皆、日本にとても感謝しているのですよ。」と現地の医師の方が笑顔で話してくださった。その笑顔を見たとき、中国と日本のつながりの強さ、そしてその重要性を強く感じた。
では、深いつながりがある中国と日本のリハビリ現場は似ているのか。いや、そうではない。日本の病院の静けさを想像してリハビリの現場に足を踏み入れた私は、驚いた。人がとても多く、にぎやかなのだ。作業療法士の方と笑顔で話しながらリハビリを行ったり、楽しそうに車いすでバスケットボールをしたりする様子が見られた。また、リハビリを行っている患者の周りでは、その家族が見守っていた。作業療法士の方は皆忙しいにも関わらず、見学している私たちに笑顔で声をかけてくださった。ある作業療法士の方は「リハビリはニコニコワクワクだよ」とおっしゃっていた。その言葉通り、人と人の距離が近い、温かさや優しさを感じられる場であった。
そんな中国のリハビリの現場には深刻な問題がある。それは、療法士の人材が不足しているということだ。中国には約8300万人もの障害者がおり、よりよい医療を受けたいと願っていながら入院できない人も多くいる。人材養成には時間がかかる上、8300万人全ての人に対応できる人数や場を用意することは簡単ではない。だが難しいからこそ解決し、一人でも多くの人が、あの温かいリハビリを受けられるようにしなければならない。そしてそこで必要になるのが、やはり「つながり」ではないかと思う。病院同士の連携、国境を越えた助け合い。これこそが解決の大きな力になるはずだ。
私は今回の医療福祉体験ツアーで、多くのことを学び、感じた。高校生でこのような経験が出来たことは、本当に貴重なことだったと思う。今回得たものを生かせるように、そして問題解決の一歩になれるように、努力していきたいと思う。
栃木県立宇都宮東高等学校 鈴木真帆
私は今回の研修旅行で、本当にたくさんのことを学ぶことができたと思っています。言葉や文化が何もかも違う国で初対面の人々と過ごした6日間は、辛いこともありましたが、素敵な思い出になりました・この文章で、私が得たものをお伝えできたら幸いです。
まず中国に来て感じたことは、何と言っても環境の違いでした。食・建物・道路・車・人…その全てのスケールがとにかく大きく圧巻で、特に観光地などでは、日本との違いに驚くことばかりでした。
私は歴史が好きなので、国家博物館や首都博物館、故宮博物院に行けたことは本当に貴重な体験になったと思っています。特に故宮博物院では、大昔から続く歴史の重みを目の当たりにすることができ、胸がいっぱいになりました。また私の特技は書道なのですが、中国の書には思わず感動してしまいました。日本の繊細な書とはまた一味違う広大でのびやかな中国の書体は、私の中にいつかこんな字が書きたいという夢を生みました。
そして、今回の研修旅行のメインにあったリハビリテーションセンターの見学についてですが、私にはそこで一番印象的だったことがあります。それは、人々の「目」です。一生懸命生きようと必死に頑張っている障害者の方々の目は、とても真剣なものでした。私の祖父は左半身が麻痺していて、友人には片足を失った子もいます。その人たちと変わらない目を、中国の方々もしているのです。どこの国でも、生きることの素晴らしさは一緒であると感じました。そして、私たち健常者は、障害を持つ方々を「障害者」として扱うことも時には必要ですが、一人の「人」として接する義務を持っているのだと思いました。
正直に言うと、今回日中関係の影響に不安がなかったと言えば嘘になるかもしれません。ですが中国の方々は私が思っていたよりずっと優しくて、親日家の方々にもたくさん出会うことができました。私は残念ながら旅行の後半で体調を崩してしまったのですが、国際医療福祉大学の方々や一緒に研修をした仲間をはじめ、中国のお医者さん、看護師さん、その他大勢の方々が親切にしてくださったこと、何より嬉しかったです。知らない土地で一人不安だった私に、みなさんは暖かい言葉をかけてくださいました。申し訳ないと思うと同時に、感謝の気持ちでいっぱいでした。
私はこの研修旅行を通して、自分の足でその地に立ってみた時、自分の視野はまだまだ狭く、偏見だって拭いきれていないことを知りました。もっともっとたくさんのことを経験して、世界中の人々が見ているありとあらゆる景色をその地に立って見てみたいです。そして、そこで得た様々なものを生きる上での糧にしていけたらと思いました。
最後になりましたが、このような機会や縁に恵まれたことに感謝します。北京に行ってまた一つ成長した自分に出会うことができました。謝謝。
明治学園高等学校 渡邉倫子
今回医療体験ツアーに参加する前、マスコミでは領土問題や中国の大気汚染の報道が飛び交っていた。出発前家族や友人がしきりに心配してくれ、私自身も少し不安だった。しかし中国リハビリテーション研究センターを訪れて、センターのスタッフがとても親切だったことに驚いた。私は正直こんなに温かく歓迎してもらえるとは思っていなかった。患者さんにとってよりよい医療を目指して手をとりあい、働いておられる日本人と中国人のスタッフの姿に接して、先入観によって狭い視野でしか捉えられていなかった私自身を深く反省した。
見学途中最も驚いたのは、和気藹藹としたリハビリの様子だった。家族が患者さんを温かく励まし、共に喜び、痛む患部を優しくさすっている姿に、私は胸をつかれた。現地理学療法士が私たちに、 「ここでのリハビリでは、ニコニコ、リラックスを大切にしているんだ。」 と教えてくれた。中国では一人の患者さんに家族数人がつきそって一緒にリハビリしている。これは、現代の日本では見られない様子だという。確かに中国にはリハビリを支える人材の不足、リハビリのためのスペースや器具の不足などの問題が多々ある。しかし中国のリハビリの現状から私達日本人が学ぶべきことは多い。日本では理学療法士による質の高いリハビリが受けられるのかもしれないが、中国のリハビリには現代日本が失いかけている家族の絆があった。中国と日本でお互いのいい所を取り入れて、患者の幸せを考えたよりよい医療を目指していくことが大切なのだと思った。
帰国前日の感想報告会で、参加者の一人が言った。「私達がこのセンターを見学したことで障害を持った方々に不快な思いをさせたり、迷惑をかけたりしたと思う。だからこそこの経験をこれからの生活に生かしていきたい。」 この言葉は今も、私の胸に突き刺さっている。 私は見学させてもらうことに一生懸命で、患者さんの立場に立ち気持ちに寄り添うことができていなかったのだ。帰国後、私は今回のこの体験をどのように生かしていくべきか、深く考えさせられている。リハビリの様子を見せて下さった患者さんやその家族の方々、現地スタッフ、国際医療福祉大学の方々の思いに少しでも応えていけるよう、私は日々の生活の中で自分自身に問い続けたい。先入観に捉われず、広い視野で考えているか、相手の気持ちに寄り添っているかと。そしてかけがえのない出会いを与えて下さった多くの方々に、心から感謝している。