食事対処編

医師、看護師、管理栄養士を中心に多職種が連携して、胃を患った方の「健康生活」を支えるための情報を提供いたします。

胃切除術後3か月間の食事について

食事の回数と量

1回の食事量を少なくして、間食を増やしましょう。朝食が多めだと、10時の間食のときに「つかえ」ることがあります。次の間食を考慮して食事をしましょう。

消化器症状と食事

もたれ感がある場合

青菜なら葉先の部分、皮や種を除いた野菜など、食べやすいところを選びましょう。 ゴボウやレンコンなどのかたい根野菜は繊維に垂直に切る、小さく切る、よく煮るなどの工夫によって、消化しやすくなります。

下痢がある場合

油を多く使っている食事になっていないか確認しましょう。
肉類のメニューに偏っていないか確認しましょう。
使用する肉の部位によって油の量も異なります。
牛バラ肉100g → 脂質33~50g、豚バラ肉100g → 脂質35~40g
牛ヒレ肉100g → 脂質5~15g、豚ヒレ肉100g → 脂質2g

便に不消化物がある場合

よく噛んで食べているか確認しましょう。野菜中心のメニューに偏っていないか確認しましょう。

冷たい飲料について

冷たい飲料が急に消化管に入ると負担になります。常温に近い温度にするか、少量を口に含んでから飲む工夫をしましょう。

塩分について

術前より食事量(カロリーが低下)が減っていると、同時に摂取する塩分も減る傾向になります。

摂取する順序について

胃切除術後の症状のひとつに「詰まり感」があります。食事が胃やのどに詰まって、それ以上食べられなくなる症状で、“小胃症状”のひとつです。
野菜は、詰まり感の原因になることがあります。「詰まり感」がある場合には、栄養価の高い肉、魚などから食べるようにするのもひとつの方法です。胃切除術後は、「野菜は身体にいい」とは限りません。

「注意が必要な食べ物」と考えてください。野菜や白身魚は、よく噛んで食べることによって「詰まり感」を防ぐことができます。

カレー

カレーの中でも「ボンカレー」は比較的油が少なく、下痢がなければ食べても大丈夫です。




食品別に一日に摂りたい食事量や食品の選び方

穀類

穀類では、茶碗軽く2杯分までです。術後1~2か月はおかゆややわらかいごはんから始め、徐々に普通のごはんにしていきます。主食として取り入れ、よくかんでゆっくり食べることが大切です。

魚、肉、豆製品

魚、肉、豆製品などの良質のたんぱく質は、手術の傷を治したり、体力を回復させたりするために欠かせない栄養素です。
この時期は、脂肪の少ない白身魚を一切れ程度、蒸したり、塩焼きやバター焼きにしたりするとよいでしょう。刺身は新鮮なものを選べば食べても大丈夫です。

肉は、脂身の少ない部分を選びましょう。牛や豚の赤身肉やもも肉、鶏肉ならささ身をひき肉にしたり、薄切りにしたりして使いましょう。一日の量は、およそささ身1本くらいから始めましょう。

また、レバーは貧血予防にもなり、消化もよいのでおすすめです。
脂肪の多いバラ肉やベーコン、ウインナーなどはしばらく控えましょう。

卵は、魚や肉と同様にたんぱく源となる食品です。必須アミノ酸をバランスよく含む良質のたんぱく質で消化のよい食品なので、積極的に利用しましょう。1日1個は食べていいです。

半熟卵、ポーチドエッグ、卵豆腐、オムレツなど、油を使わず調理した料理や、やわらかい料理を選びます。

野菜

野菜や芋類には繊維が多く含まれているため、消化液では消化されにくいですが、ビタミン、ミネラルを含んでいるので調理方法を工夫して食べましょう。

ほうれん草、にんじん、大根、かぼちゃ、じゃがいも、里芋などはやわらかく煮ます。退院後1か月程度の時期に生野菜を食べる際は、トマトなら皮や種を除き、きゅうりは皮をむいて使ってください。

調理方法

調理は煮込んでやわらかくしたり、フライパンで蒸し焼きにしてふっくら仕上げるとよいでしょう。また、あまり焦がさないように気をつけます。脂肪の多いベーコンやバラ肉、ハムなどはしばらく控えましょう。

豆類では、豆腐や湯葉、納豆はよくかむものであれば、食べても大丈夫です。油揚げのように油で揚げたものは、しばらくは避けましょう。

和食はいろいろな食材を使って調理するので、バランス良く栄養を摂ることができます。しばらくは手術前のように食事を摂ることは難しいでしょうが、工夫して少しでも食べられるようになれるとよいですね。

冷凍食品の上手な選び方

胃を切除すると胃が小さくなり、1回の食事にたくさんは食べられなくなります。1日に摂取する食事の量は減らさないように、1回の食事量は少なく、回数を多くして食べるようにします。
しかし、何をどうやって食べたらよいのかわからないのに、バランスのとれたメニューを考えて調理するのは負担に感じるでしょう。また、料理が苦手という方は、さらに不安になりやすいことでしょう。そのようなときには、冷凍食品を取り入れることで負担や不安を軽くできるといいですね。

冷凍加工食品

コロッケやフライ、唐揚げなどの冷凍加工食品は、油で揚げ、味付けもしっかりしているので、手術後はしばらく控えたほうかよいでしょう。

退院直後から退院3か月までの食事では消化によい食品を選び、油を控えめに、よく加熱してやわらかく調理することが必要です。

冷凍野菜

下処理ずみですぐに使用できる冷凍素材(里芋、かぼちゃ、ブロッコリー、カリフラワー、ミックスベジタブルなど)も積極的に利用しましょう。買い物の手間や加熱時間を省けるので、食事の支度を急ぐときなどはとても重宝します。

冷凍野菜は急速冷凍しているので、とれたての新鮮な風味や栄養素がそのままの姿で保存されています。しかも長く保存できるので、季節に関係なく自由に食材を選べます。
しかも下ごしらえしてあるので、一から作るよりお手軽で、調理時間も短縮できます。

食品の選び方に注意して冷凍野菜を上手に活用し、簡単においしく食べられるといいですね。 ミキサーは短時間で食材を細かく砕き、調理の手間を省くことができます。「つかえ」る感じがあるときは、ミキサーでジュースを作るのがよいでしょう。

また、繊維の多い青菜(ほうれん草、小松菜など)をやわらかくゆでてミキサーでかくはんして牛乳や豆乳を加えれば、ポタージュスープができます。さらに、牛乳や豆乳とバナナを入れてミキサーでかくはんすれば、バナナミルクのできあがり。間食にもおすすめです。

さらに、通常の食事が食べられないときには、栄養を助ける食品を利用しましよう。胃を切除してからは食事の量も増えにくく、栄養を十分に摂ることが難しいこともあります。体重が思うように増えないなどの悩みがあれば、足りない栄養素を栄養補助食品で補うこともおすすめです。

便利な冷凍野菜

ほうれん草

ほうれん草は、カロチンや鉄分を多く含んでいます。消化がよく、貧血の方におすすめです。
「ほうれん草の卵とじ」の作り方は、調味料をひと煮たちさせ、ほうれん草を加えてやわらかく煮ます。溶きほぐした卵を流し入れたらできあがりです。

その他に、「ほうれん草とにんじんのコンソメスープ」や、バターで炒めた「ほうれん草のソテー」にもアレンジできます。

さといも

さといもは、ビタミンB1、カリウム、ガラクタン、マンナン、ムチン(里いものぬめり)が多く含まれ、疲労回復の効果もあります。

「さといもの煮物」の作り方は、にんじんやかぶと一緒に、だしと調味料でやわらかく煮てできあがりです。 お試しください。

素材缶詰の上手な選び方

調理に時間のかかるかたい豆類などは、水煮缶詰を利用すれば気軽に調理できます。さばの缶詰は、調理内容によっては脂質の量が多いものがありますので、確認して選択しましょう。スープ類の缶詰やレトルトパックなどを買い置きしておきましょう。

果物の缶詰は、ビタミンなどの栄養価が生の果物と比べると減少しますが、消化がよいので適量の摂取はおすすめします。

魚介類:あわび、いか、たこ、ハム、ベーコン、サラミなどの缶詰は消化がわるいため、避けるか調理法を工夫しましょう。

職場復帰して1か月後のコンビニエンスストアの上手な利用方法

職場に復帰してから、手作りのお弁当や間食を準備することが難しい場合は、近所のコンビニエンスストアのお弁当や間食などの選び方を工夫すれば、問題ありません。

コンビニエンスストアは店舗数が多いため身近で、気軽に買い物ができます。また、24時間営業している店も多く、大変便利です。

1人前ずつパックになっているお弁当、お総菜、間食、汁物、飲み物、パン、レトルト食品など品揃えも豊富ですから、上手に利用しましょう。ポイントは消化のよい食品を選び、よくかんで食べ、「腹七分目」で抑えておくことです。

お弁当を選ぶなら、繊維の多い野菜や脂肪を多く含む揚げ物(コロッケ・鶏の唐揚げ、とんかつなど)、脂身の多い肉(豚バラ肉、ベーコンなど)、消化のわるい魚介類(いか、たこなど)を避けて選びましょう。

うどんやそうめん、そば、やわらかめのおにぎりなどは、消化のよいメニューでおすすめです。

容器のまま電子レンジで温めると環境ホルモンが出ることがありますので、中身を食器に移しかえて電子レンジで加熱するようにしましょう。

食材の選び方

パン類

パンでは、やわらかい食パンで作った卵サラダのサンドイッチがおすすめです。マヨネーズは油も含まれていますが乳化されているため、多量に摂取しなければ問題はないでしょう。

パンは、クロワッサン、デニッシュ、カレーパン、揚げパンなどは脂質が高いので、避けたほうがよいでしょう。

お惣菜類

お総菜としては、豆腐や半熟卵、だし巻き卵、茶碗蒸しなどが、消化がよいのでおすすめです。

スープ類

お弁当だけでは物足りないときは、カップ味噌汁や豚汁、クリームコーンポタージュなどがおすすめです。
ただし、わかめやゴボウなどは消化がわるいので避けましょう。

デザート類

間食には、ヨーグルト、プリン、ゼリー、パンケーキ、ロールケーキ、肉まん、あんまん、ビスケット、バナナ、栄養補助食品などがおすすめです。

種類も豊富にありますので、間食として毎日楽しみながら体力回復に役立てていきましょう。下痢をしている場合は、どら焼き、羊羹など低脂肪のものがおすすめです。

食事のペース配分

朝食時に食べ過ぎると、1日調子が悪く、お腹が張った状態が続くことがあります。1回の食事量を控えめにして間食を摂ったり、補助栄養剤を摂ったり、食事を4~5回にわけて食べたりすることで、栄養を十分補うことができます。

摂食回復支援食「あいーと」のご紹介 

摂食回復支援食とは?

胃切除術後の患者さんの多くが、手術後の食事をどのようにすればいいのかという問題に直面します。また、胃切除術後の患者さんを支える家族も、食事面での支援に困ったり悩んだりすることがあるのではないでしょうか。消化吸収の良い食事を作ろう、摂ろうと思っても、では具体的にはどのような食事がいいのか、また、どのくらいやわらかくすれば食べやすいのかなど、食事の形態に関するお悩みも多いのではないかと思います。
このような状況にある患者さんへ、摂食回復支援食「あいーと」をご紹介したいと思います。

「あいーと」は、見た目は普通の形状なのに、とてもやわらかくできている食事なのです。どのくらいのやわらかさなのでしょうか。この商品を製造・販売しているイーエヌ大塚製薬㈱によると、普通の食材と比較し、1000分の1のやわらかさを実現しているとのことです。想像がつきにくいですね。簡単に表現すると、「舌でくずせる」やわらかさということです。独自の技術で、食材ごとに形が崩れないギリギリの軟らかさに仕上げながら、食材のもつ本来の食感も残したそうです。

ここでは、私たちが試食した「あいーと」についてレポートしていきたいと思います。

炭水化物編

食パンとチキンカツ

食パン
見た目:
完全な食パンです。触ってみると、ふかふかしています。
香り:
焼きたてパンのような香りが食欲をそそります。
食べた
感想:
少し水っぽさを感じるものの、甘みがあっておいしくいただけました。


ごはんとさばの味噌煮

ごはん
見た目:
水っぽいごはんのイメージです。ご飯粒のまとまり感がなく、ぽろぽろしている感じです。
食べた
感想:
甘みがありおいしくいただけました。ご飯粒のまとまりがありませんが、口に入れると溶けるように軟らかいので、あまり気になりませんでした。

お野菜編

吹寄せ野菜
見た目:
お野菜の煮物そのものです。
香り:
トレーを開けた途端に広がるゆずの香りが食欲をそそります。とてもいい香りでした。
食べた
感想:
ゆずの風味が効いており、期待以上のおいしさでした。れんこんや大根、人参といった根菜がメインになっていますが、どれも軟らかく、舌でつぶせるほどの軟らかさに驚きました。

お魚編

エビチリ
見た目:
海老にチリソースが絡み、見た目華やかです。
香り:
エビチリの香ばしい香りがお部屋に広がります。
食べた
感想:
溶けるような食感ですが、海老そのもののうまみを味わうことができます。ソースが濃い目に味付けされており、箸が進みます。付け合せのブロッコリーは、口の中でばらけることはなく、しっとりまとまっていました。

さばの味噌煮とごはん

さばの味噌煮
見た目:
さばの艶やかな輝きが食欲をそそります。
香り:
お味噌の甘い香りが空腹感を刺激します。
食べた
感想:
単刀直入に、おいしいです。さばのうまみはそのままで、ぱさぱさ感はまったくありません。

お肉編

豚のしょうが焼き
見た目:
思っていた以上に“お肉感”があります。
香り:
しょうがと豚肉のバランスの取れた香りが空腹感をそそります。
食べた
感想:
味は豚のしょうが焼きそのものでとてもおいしいのですが、食感は白身魚に近いような気がしました。軟らかく煮込んだ煮魚が口のなかで溶けていく食感に似ています。

チキンカツと食パン

チキンカツ
見た目:
一見すると、チキンカツの甘辛煮のようにも見えます。
食べた
感想:
しっかり味がついていて、とても食べやすかったです。食感は、白身魚のような食感に近いような気がしました。



すき焼き風寄せ煮
見た目:
野菜、お肉、お豆腐ともに、しっかり形状を保っています。
香り:
すき焼きのいい香りが広がります。
食べた
感想:
しっかり味がしみていて、とてもおいしくいただきました。特にお豆腐が絶品です。しっとりした柔らかさで、とてもおいしいです。牛肉も軟らかく、口のなかで溶けていくほどでした。

まとめ

どの食品も香りがよく、見た目もさながら、嗅覚も刺激され食欲がそそられました。
見た目はしっかり食品の形状を保っていますが、食べてみると本当に軟らかく、口のなかで溶けていくようなイメージでした。これほど軟らかくなっているのに栄養成分はしっかりキープされています。このような食事を取り入れると、術後早期でもおいしく楽しく食事ができるのではないでしょうか。

よくあるご質問

  • Q.職場(社会)に復帰し、会食や飲み会に誘われました。自分のことを考え、相手へも配慮した回答の仕方について教えてください。
    • お酒を控えなければならない場合・・・
      お酒をすすめられた場合は、はっきり断ってしまうとその場の雰囲気を悪くしてしまうことがあります。そんなときは、「ありがとうございます。でも、もう十分いただきました。〇〇さんはいかがですか?」と相手に話をふることで、その場をコントロールしましょう。
    • 苦手なものをすすめられたら・・・
      「申し訳ありません。〇〇は苦手なんです。代わりにこちらをいただきます」と相手の気遣いに対して配慮した返答をしましょう。
    • 宴会に誘われたら・・・
      まずは、「飲み会? いいね。行きたいな」と好意を示した後で、「でも、ごめん。胃を手術したばかりで、休肝日というか休胃日期間なのです。声をかけていただいて嬉しかったです。参加できるようになったら伝えるので、そのときには是非、お願いします」と断れば、相手も不快にならないでしょう。
  • Q.職場に復帰してしばらく(1~3か月)したら、仕事の付き合いで宴会に出席することになりました。お酒は飲んでもいいでしょうか?
  • A.胃の手術後は胃が小さくなっているため、お酒や食事など胃に入れた物が短時間で小腸に流れることが考えられます。
    アルコールの吸収速度は、胃に比べて小腸のほうが速く、「胃の手術後は、術前よりも早く酔う」といわれています。ゆっくりしたペースで、楽しみながら飲みましょう。

    焼酎やウイスキーの水割りならグラスで1杯(180ml)、ワインなら小グラスに1杯(100ml)程度が1日の摂取量の目安となるでしょう。
    炭酸類はお腹が張るので、控えたほうがよいでしょう。(例:ビールやサワー)
    日本酒は原液で飲むので100ml程度にとどめ、焼酎やウイスキーはロックより水割りから始めましょう。

  • Q.体力がなく疲れやすいのですが、宴会の出席を短時間にしたいと思います。その際の断り方について教えてください。
  • A.体力の低下を自覚している場合、短時間の出席を検討することは、とてもよいことです。早めに帰ることや、遅く出席する等を検討してみてはいかがでしょうか。あなたと主催者等との親密度にもよりますが、大まかに病気の状況や現在の生活状況等を説明し、短時間の出席になることに理解を求めましょう。

    例えば、「胃の手術をして現在は仕事に復帰したけれど、まだ体調が元に戻っていないので、宴会の終了時間までいることは難しいです。申し訳ないけれど短時間の出席とさせてほしいのです。次回までには体力をつけて、参加したいと考えています」などのようにお話ししてみてはいかがでしょうか?

  • Q.宴会や会食では食事のペースが崩れるので心配です。
  • A.宴会に誘われたときは、断りにくいものです。無理をせず、最小限のお付き合いでもよいのではないでしょうか。
    もしもお酒を飲むときは、ビールは飲むとすぐにお腹が張り下痢しやすくなることがあるので、温かい日本酒か焼酎のお湯割りなどはいかがでしょうか。
    またお酒が入ると気が緩み、食べるすぎる傾向があります。
    食べられるものを、量に注意しながらよく噛んで、ゆっくり食べるようにしましょう。

  • Q.職場に復帰してしばらく(1~3か月)したので、職場の同僚から食事会に誘われています。ホテルでのバイキング方式の食事会ですので是非出席したいのですが、どのようなことに気をつけたらいいでしょうか?
  • A.普段の食事と同様に、消化のよい料理(和食系料理)を選択しましょう。またバイキング方式の食事の場合、ご自分の食べられそうなものを適量、お皿に取り分けることができます。 意識して量は少なめに取りゆっくりと食べるようにすると、職場の同僚との交流を気兼ねなく楽しむことができるでしょう。周りの雰囲気から、いつもより多くの量を、速く食べてしまいがちです。会話を楽しみながら「腹七分目」を目標にしましょう。

  • Q.職場に復帰してしばらく(1~3か月)したので、職場の同僚から週末に、私の大好きな中華料理を食べに行こうと誘われています。胃の手術後はじめての中華料理なので食べに行きたいのですが、どのようなことに気をつければいいでしょうか?
  • A.体調がよいのであれば、食べてはいけないものは特にありません。基本的には楽しくおいしく、栄養バランスよく食べることが一番です。ただ、胃の手術後は胃酸や消化酵素の分泌が減ってしまうために、消化力が落ちています。そのため、油を多く使った料理は胃もたれを起こすことがありますので、注意しましょう。手術後しばらく食べていなかったものは、ご自分の体調や食欲に合せて取り分け、最初は少量から食べてみましょう。中華粥、花巻(蒸しパン)、スープ、シュウマイ、水餃子、かに玉などがおすすめです。 ラーメンで使う中華麺には、かんすい(アルカリ塩水溶液)というツナギが入っていて消化がわるいので、注意しましょう。

  • Q.胃の手術を受けました。退院してしばらく(1~3か月)したので、職場の同僚と居酒屋へ行ったとき、どんなものなら食べてもいいですか?
  • A.居酒屋にはたくさんのメニューがあります。食事の量と食品の選び方に注意して、同僚との楽しい時間を過ごしてください。
    退院後1~3か月程度の時期であれば刺身は敬遠されがちですが、新鮮なものであれば食べても大丈夫です。特に、脂肪の少ない白身魚の刺身がよいでしょう。えびやかにも食べられます。貝類は、かき以外は消化がわるいので避けましょう。ただし、かきの生食は、食中毒予防のために控えたほうがよいでしょう。

    強い甘みや塩分によって、胃壁や腸壁が刺激されます。できるだけ避けるような食品を選びましょう。冷たすぎたり、熱すぎたりする飲食物も刺激となるので控えましょう。

    居酒屋のメニューには油を使ったものが多いです。油は一度にたくさん摂ると消化吸収するのに負担がかかり、下痢をすることがあります。揚げ物やごぼうや海藻サラダ等、食物繊維の多い野菜は消化がわるので注意しましょう。

    レバーの串焼きは敬遠しがちですが、鉄などのミネラルやビタミンの宝庫です。居酒屋の雰囲気であれば、こうしたものも食べられるかもしれませんね。
    また、最後に主食を食べることが多いので、量に注意しましょう。

  • Q.フランス料理の会食があります。参加してもよいでしょうか?
  • A.フランス料理のコース料理は油を多く使い、量も多いといったイメージから、避けなくてはならない料理のように感じます。しかし、時間をかけてゆっくりと食べられるといった点では、とてもよい食事スタイルです。以下の点に気を配れば、食べても差し支えないでしょう。

    • 素材に気を配り、食物繊維が多く、消化の良くない食材が使用されているメニューは避けましょう。白身魚や脂身の少ない肉は食べても大丈夫です。いか、たこ、海草、セロリ、ナッツ類は消化がよくないので避けましょう。
    • 調理法に気を配り、油、バター、香辛料の使用が少ないメニューを選びましょう。温野菜、蒸した白身魚のムース、魚のピカタ、やわらかく煮込んだシチュー等がおすすめです。スープは消化が良いですが、お腹がいっぱいになってしまうので、ごく少量がいいでしょう。
    • デザートも、食物線維が多い食材を使用しているメニューは避けましょう。加熱した果物のコンポート、ババロア、プリン、バナナ、もも等がおすすめです。粒があるイチゴやキウイフルーツのようなもの、食物繊維が多いパイナップルは避けましょう。
    • 前菜に始まりデザートまでのコース料理をすべて食べると、量が多いかもしれません。全体の1/3程度に減らしてもらうことや、アラカルトで単品を楽しむことをおすすめします。また、食が細い小さなお子さんやお年寄りとシェアして食べたり、量が少ないランチから試してみたりするのもよいでしょう。
    • フランス料理はレストランを事前に予約することが多いでしょう。予約時に病気のことを説明し、お店側が負担にならない程度でできるメニューや、量の変更をお願いしてはどうでしょうか。メニューや量の変更ができない場合は、あらかじめ「手術後なので食事を残してしまい申し訳ない」と伝えておいてもいいでしょう。
  • Q.イタリア料理の会食があります。参加してもよいでしょうか?
  • A.イタリア料理は、スパゲティミートソースやピザ、ラザニアなどが代表的なメニューです。味付けはトマト、バターや生クリームを利用した料理が多いです。 食材には、にんにく、オリーブ、オリーブオイルや、魚介(たこやいかが主)サラミ、ベーコンなどの肉の加工品、チーズが使用されます。

    魚介類(たこやいかが主)、サラミ、ベーコンなどの肉の加工品は消化がわるい食品です。消化のよい料理を選びましょう。

    例:
    じっくり煮込んだスープスタイルのスパゲティを選びましょう。
    リゾットも煮込んでいるため消化がよいです。
    肉の具材は、脂身の少ない肉や鶏肉などがよいでしょう。

  • Q.胃の手術を受けました。退院してしばらく(1~3か月)したので、職場の同僚と焼肉を食べに行っても大丈夫でしょうか?
  • A.気の合う同僚と焼肉を囲んで、楽しいひとときが過ごせそうですね。肉の良質のたんぱく質は、手術の傷を治したり、体力を回復させたりするために欠かすことができない栄養素です。上手に食事に、取り入れたいですね。

    退院1~3か月程度の時期は、ささ身1本くらいの量が適しています。手術前のようにたくさん食べることはできないですが、牛や豚の赤身の多い部位、鶏肉のささ身など、脂身や皮が少ない部分を選べば食べても大丈夫です。また、レバーは貧血予防にもなり消化もよいので、おすすめです。脂肪は消化吸収に負担がかかるので、下痢をすることがあります。脂肪の多いバラ肉やベーコンなどはしばらく避けましょう。

    また、焼肉のたれは味付けが濃く、辛いものもあり、消化管には刺激が強いかもしれません。たれの代わりに、肉にレモン汁をかけてもよいでしょう。酸は消化液の分泌を促します。 柑橘類は、内皮や種を取り除いて摂るようにしましょう。

    手術で胃をすべて取ってしまった方は、貧血症状が多くみられます。鉄分の不足を補うために、鉄分の多い牛、豚、鶏のレバーなどを積極的に選んで食べるようにするとよいですね。肉には、鉄の利用効率を高める良質の動物性たんぱく質が豊富に含まれています。

    手術後は消化管ばかりでなく、いろいろなところにストレスがかかります。同僚と和やかに食事をすることで、気持ちも休ませることができるでしょう。

  • Q.胃の手術を受け、退院して1か月です。手術前は和食が中心でした。これからの食事で注意したほうがよいことを教えてください。
  • A.この時期は一度に食べられる量が少ないので、必要な栄養を十分に摂る工夫が大切です。消化管の機能は少しずつ回復してきますが、手術後に気をつけてほしい食品や料理があります。 玄米、餅、ラーメン、貝類、練り製品(はんぺん以外)、肉の脂身、油揚げや厚揚げ、にら、ぜんまい、たけのこ、ごぼう、れんこん、海藻(海苔の佃煮は可)などです。
    中でも、特に気をつけてほしいものは寿司、赤飯、いか、たこ、しらたき、こんにゃくなどです。 ただし、決して食べていけないものではありません。

    手術直後や体調が悪い時、食べて調子がわるくなるものは気をつけましょう。いきなり一人前を食べるではなく、体調を見ながら少しずつ量を増やしていきましょう。

  • Q.スーパーやデパートのお惣菜を買って食べてもいいですか?
  • A.毎日、健康に気をつけながら食事を作るのはとても大変です。スーパーやデパートのお惣菜ですます日があってもよいのではないでしょうか。お惣菜は油や塩分が強いイメージがありますが、以下の点に気をつけて上手に利用しましょう。

    • 素材に気を配り、繊維質が多く消化のよくない食材が使用されているものは避けましょう。
    • 調理方法に気を配り、油、塩分、香辛料が少ないものを選びましょう。たとえば、温野菜のサラダ、野菜の炊き合わせ、煮魚、蒸した魚などはおすすめです。
    • 味が濃い場合は、ほかのものと一緒に煮込む、他のものを添えるなどして食べるのがよいでしょう。
    • 控えたほうがよいものは、油を多く使用しているフライ、てんぷら、消化のよくない生野菜のサラダ、きんぴらごぼう、ひじきの煮物、切り干し大根の煮物等です。フライ、てんぷらは、手術後6か月程度たってから、消化のよい白身魚、かぼちゃ、じゃがいもなどを少量ずつから試してみましょう。

    調理時間や手間を短縮する目的で市販のお惣菜を購入する場合は、カット野菜や合わせ調味料の活用、電子レンジを使用した調理等も検討してみてはいかがでしょうか?

  • Q.お酒のカロリーを教えてください。
  • A.ワイン100ml、約グラス1杯で80kcalです。
    ブランデーは原液30mlで80kcalです。胃切術後はアルコールの吸収が早まり、酔いやすくなります。原液量を減らし、ゆっくり飲むためにロックではなく、水割りにしましょう。
    日本酒は1合180mlで200kcalです。
    焼酎は原液50mlで80kcalです。炭酸はお腹がふくれるので、お湯割りなどにして飲むとよいでしょう。

  • Q.チョコレートは大丈夫でしょうか。
  • A.3個で80kcalになります。脂肪分が多いので、下痢になる可能性があります。

  • Q.ゆずは大丈夫でしょうか。
  • A.酸っぱいものは手術後3か月から6か月は気をつけてください。 ハチミツなどで薄めればよいでしょう。

  • Q.梅酒は大丈夫でしょうか。
  • A.薄めれば大丈夫です。熱いものは冷まして、冷たいものは避けるとよいでしょう。

  • Q.父は家族の言うことを聞かず酒を飲むことがあります。今のところ、症状は特にないのですが大丈夫でしょうか。
  • A.何もなければ大丈夫です。

  • Q.やせてしまって体重が戻りません。本人は太りたいのですがどうしたらよいでしょうか。
  • A.身につくものでお腹をいっぱいにしているのか、身につかないものを食べているのかを確認したいため、 一度相談にお越しください。ちょっとした悩みでも管理栄養士に相談してください。

  • Q.ジムに通う判断基準を教えて欲しいです。
  • A.エネルギーを摂っていないのに負荷をかけるのはマイナスです。運動中の脈拍を参考にしてください。1分間の脈拍が120回程度がよいです。 筋肉は防御的に強くなる性質があります。過負荷は蛋白質を必要とするので、エネルギー不足の人が負荷をかけすぎると筋肉からエネルギーを奪ってしまいかねません。 低負荷が大前提です。


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